
船橋市・馬込沢の藤田ピアノ音楽教室、代表の藤田晃太朗です。
今回は、ドミトリー・カバレフスキー Dmitri Kabalevsky (1904-1987) が作曲した《こどものためのピアノ小曲集 》作品27より、以下の5曲について、演奏法と表現のポイントを解説します。
- No.24《 エチュード》 Etude
- No.25 《ノヴェレッテ》 Novelette
- No.26 《エチュード》 Etude
- No.27 《おどり》 Dance
- No.28 《気まぐれ》 Caprice
各曲が持つ固有の雰囲気や動きのニュアンスを引き出すお手伝いが出来れば幸いです。
まずは演奏動画でイメージを掴みましょう!
解説を読む前に、まずは演奏動画をご覧ください。曲全体の雰囲気や響きを感じていただくことで、この後のポイント解説がより深く理解できるようになります。
各曲の演奏ポイント解説
No.24《 エチュード》Etude (動画00:20-)
このエチュードは、技巧的で演奏が難しいとされる一曲です。このエチュードは、技巧的に演奏するだけではなく、独特な雰囲気を感じることも大切です。
練習の進め方
- 初期段階: 慣れるまでは、音を間違えずに正確に弾くことを最優先にしましょう。
- 発展段階: ある程度弾けるようになったら、細かなミスを過度に気にするよりも、指示された速度記号のAllegro marcato(快活に、各音をはっきりと)に慣れ、曲本来の魅力を引き出すことを重視しましょう
技術的なポイント:15小節目からのユニゾン
- 左右の手が同じ音を奏でるユニゾン部分は、楽譜を一見すると簡単に感じられるかもしれませんが、実際には高度な技術が必要です。
- 特に、左手の1オクターブのアルペジオ(分散和音)の滑らかな移行は、つまずきやすい箇所かもしれません。丁寧な練習を心がけてください。
表現のヒント
- 小さなお子様にとって、この曲の独特な雰囲気を表現するのは難しい場合があります。その際は、例えば「ピエロ」をイメージさせ、少しおどけたようにとアドバイスすると、曲の雰囲気が出やすくなることがあります。
No.25 《ノヴェレッテ》Novelette (動画01:50-)
「ノヴェレッテ」とは「短編小説」を意味する言葉です。ローベルト・シューマン Robert Schmann(1810-1856)がピアノ曲 作品21でこの名(ノヴェレッテ)を用いたことがきっかけに音楽の世界でも有名になった言葉です。物語を語るように豊かな表現で演奏できると素晴らしいです。
この曲で大切なこと
- この曲で大切なのは、特定の感情(例:楽しい、悲しい)を単純に表現するのではなく、小説を語るような豊かな表現で演奏することです。
- あえて言葉にするならば、「小品の範囲で、厳かに、表現豊かに」といったニュアンスを目指しましょう。
音楽的な特徴:アウフタクト的なシンコペーション
- この曲を非常に特徴づけているのが、アウフタクト的(小節内の第1拍目以外から始まる)なシンコペーション(本来強調されるないはずのない拍を強調)です。このリズムが、曲に生き生きとした動きと推進力を与えています。こうしたシンコペーションの活用は、シューマンの作品にも見られる特徴です。
左手の役割
- 左手の伴奏も、この曲を形作る上で非常に重要です。右手のメロディーの邪魔にならないよう音量に配慮しつつ、曲全体の支えとなるように演奏しましょう。
- そして、8分の6拍子(1小節に8分音符が6つ入る拍子ですが、大きな2拍子として感じることが大切です)の持つリズム感をよく感じながら、音楽を支えてください。
No.26 《エチュード》Etude (動画05:45-)
No.24と同様、この曲も技巧的な要素を多く含んでいます。
練習の進め方(No.24と同様に)
- 初期段階: まずは音の確認から始めましょう。
- 発展段階: 慣れてきたら、細かなミスにとらわれず、楽譜に指示された速度記号に沿って演奏することに慣れていきましょう。
曲の性格
- No.24のエチュードよりも、速度をより速く、おどけた雰囲気で、スケルツォ(おどけて)のように演奏すると良いでしょう。
注目すべき箇所
- 21小節目~(動画6:03-): 右手がこれまで以上にメロディー的な役割を担います。個々のリズムの捉え方が難しいため、ここはぜひ演奏動画で実際のニュアンスを確認してみてください。
- 35小節目~(動画6:15-): 今度は左手がメロディーを奏でる部分が現れます。左右の音量バランスに注意し、右手は左手の旋律を支える役割に徹しましょう。
No.27 《おどり》Dance (動画07:27-)
この曲は、題名が示す通り「踊り」がテーマであり、リズム感が非常に重要になります。
リズムの捉え方
- 2拍子をよく感じながら演奏してください。
イメージのヒント
- 私たちが一般的に想像するような洗練された「踊り」というよりは、民族的な踊りをイメージすると、曲の雰囲気に近づけるでしょう。少し原始的な力強さもイメージできると良いですね。
- ただし、そうした力強さの中にも、民族的な温かみは忘れずに表現しましょう。
No.28 《気まぐれ》Caprice (動画08:34-)
演奏上の注意点
- 「気まぐれ」という題名から連想されるように、切羽詰まったような、追い立てられるような演奏は避けましょう。 遊び心を持つことが大切です。
- ただし、速度記号は Andantino (アンダンティーノ:やや歩くような速さで) ですので、あまり遅く弾きすぎると、曲の持つ軽やかさや「気まぐれ」な面白みが薄れてしまいます。
練習のポイント
- 技巧的にはそれほど難易度が高いわけではありません。そのため、自分の出す音をよく耳で聴き、耳と手を一致させるという、良い練習にもなります。
おわりに:演奏を考えるヒントとして
今回は、カバレフスキーの《こどものためのピアノ小曲集》作品27より、5つの小品について、演奏のポイントをいくつか解説しました。最後に、各曲で大切にしたいポイントを振り返ってみましょう。
- No.24《 エチュード》: テクニックだけではなく、この曲が持つ独特な雰囲気を大切にしてみましょう。
- No.25《 ノヴェレッテ》: 物語を語るような豊かな表現で演奏してみましょう。
- No.26《 エチュード》: No.24よりも速度を速くして、軽快さや、おどけた雰囲気を大切に演奏してみましょう。
- No.27《 おどり》: 力強さの中にも、民族的な温かみが感じられるような、リズム感を表現してみましょう。
- No.28《 気まぐれ》: Andantinoの速度を忘れずに、遊び心のある演奏を目指してみましょう。
これらのポイントが、ご自身の演奏と向き合う上での、ヒントとなれれば幸いです。練習の中でこれらを意識していただくことで、音楽がより説得力のある演奏になるでしょう。もし、さらに踏み込んだアドバイスをご希望の方は、お気軽に当教室にご連絡お願いいたします。
参考文献 野元由紀夫 2002 「ノヴェレッテ」『新編 音楽中辞典』 409 東京:音楽之友社。
カバレフスキー こどものためのピアノ小曲集 1978 解説 橋都みどり 東京:全音楽譜出版社。
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